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闘鶏山古墳本格調査へ 未盗掘石室、科学が迫る 遺骨DNA鑑定も(産経新聞)

 平成14年のファイバースコープ撮影で石室内に被葬者の骨や副葬品が埋葬当時のまま残っていた大阪府高槻市の闘鶏山(つげやま)古墳(国史跡、4世紀前半)について、市教委が本格的な発掘調査に乗り出す方針を固めたことが5日、わかった。事前撮影で未盗掘と判明した石室の発掘は国内初で、遺骨のDNA鑑定なども行われる予定。古墳時代黎明(れいめい)期の謎に、最新鋭の技術を駆使して迫る試みで、22年度中に発掘方法を決め、早ければ23年度から着手する。(小畑三秋)

  [フォト]被葬者の頭蓋骨や鏡などが埋葬当初の状態で残っていた石室内

 ◆一級の埋葬品

 闘鶏山古墳は、全長88メートルにおよぶ前方後円墳。14年、宅地開発計画に伴い市教委が行った小規模な発掘で、葺(ふ)き石や竪穴式石室が確認された。

 石室内をファイバースコープで撮影すると、あおむけに埋葬された被葬者の頭蓋(ずがい)骨、邪馬台国の女王・卑弥呼が中国から下賜(かし)されたともいわれる三角縁(さんかくぶち)神獣鏡(しんじゅうきょう)など一級の埋葬品が見つかり、一躍注目を集めた。

 古墳は丘陵の先端部にあり、長らく存在さえはっきり分かっていなかった。14年の発掘はいわば「念のため」だったが、貴重な未盗掘古墳の確認につながる“偶然の大発見”になった。

 だが、18年に行われたデジタルカメラ撮影で、石室の石材落下で鏡に亀裂が入っていることが判明。カビも繁殖しており、保存に向け、早急な発掘調査の必要性が高まっていた。

 ◆模型を作り検討

 未盗掘古墳の発掘調査例としては、石棺内から金銅製の冠などが見つかった藤ノ木古墳(奈良県斑鳩町)が知られるが、石室そのものが未盗掘と分かった上で調査した例は過去にないという。文化庁記念物課は「国内初となるため、万全な態勢が必要」とし、闘鶏山古墳は手つかずの状態が続いてきた。

 石室(推定長さ7メートル、幅1メートル、高さ1・3メートル)は大人が立って入れないほど狭く、作業は至難の業。石室の壁は、厚さ数センチの板状の石材を内側にせり出させて積み重ねた三角屋根のような特殊構造で、不用意に石材を抜き取るとバランスを失って崩れる危険もある。

 市教委は現在、石室の原寸大模型を製作し、石材の取り外し方や補強方法などを慎重に検討している。鐘ヶ江一朗文化財課長は「さまざまなケースを想定している」と言い、文化庁の了解が得られ次第、23年度にも調査にかかる方針。被葬者遺骨のDNA鑑定も行う予定だが、同庁は「正確な鑑定には、骨の上に担当者の汗ひとつ落とすことも許されない」としている。

 ◆異例の「覆い屋」

 「石室に外気が入ると、遺物の劣化スピードは速くなる。現状のまま保たれる保証はどこにもない」。保存科学が専門の肥塚隆保・奈良文化財研究所副所長は「遺物を救うため、発掘など適切な措置を講じる時期に来ている」と強調する。

 調査では、石室内の温度や湿度が急変して遺物に影響を与えないよう、空調設備を備えた「覆い屋」を設ける予定。覆い屋は、国宝壁画の描かれた高松塚古墳(奈良県明日香村)の石室解体で導入されたが、発掘調査では極めて異例だ。

 天皇陵クラスを含め、大半の古墳が盗掘を受けながら、幸運にも被害を免れた闘鶏山古墳。すぐ南に神社があることから、市教委の担当者は「お宮さんの古墳として、盗掘者も手を出せなかったのかもしれない」と推察する。石室は現在、数千個の土嚢(どのう)で埋め戻し、鉄板を敷いて厳重に保護され、来るべき調査本番を静かに待っている。

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